エビデンス~信頼できる情報を見極める。その1

エビデンス~信頼できる情報を見極める。その1

医療の世界でよく聞く言葉、エビデンス(Evidence) 。直訳すれば証拠とか形跡になる。医療で使うのは、エビデンスに則ってこういう治療をする。みたいに使われていると思うが、そのエビデンスはどこまで信用できるのか。現在の情報社会では、情報の信頼性を見極めるのが難しくなってきている。医療者はやたらと使われているエビデンスが、実際にどこまで信頼できるのかを判断して医療に反映していかなくてはならない。

量と質

エビデンスを出すために研究、いわゆるresearch が行われるのだが、このresearch には、大きく分けて2種類ある。Quantitative researchqualitative research だ。Quantitative は数量の研究で、qualitative は 質の研究と言うことになる。

Quantitative research

一般的にはquantitative の方が、よくエビデンスとして知られている。例えば、新しい高血圧の治療薬を薬会社が出したとする。それを人に使ってみて、血圧の下がり具合や副作用などを見る。より多くの人に試した方が、結果の信憑性が上がるのは明らかだ。つまり量が重要なのだ。この信憑性を表すピラミッド、level of evidence がある。このピラミッドの上に行けばいくほど信憑性があがると言うわけだ。

Level of evidence

Image result for evidence medicine levels

引用:https://www.researchgate.net/figure/Evidence-based-medicine-pyramid-The-levels-of-evidence-are-appropriately-represented-by_fig1_257072438

ではピラミッドの下から順に説明していこう。Expert Opinion と言うのは、まあ、医者がこれが効くんじゃないかと思う。と言うレベル。Case Series & Case Reports は実際に使ってみたら、この薬が効いたという症例があった、と言うレベル。Observational Studies with Comparison Group の段階では、2つ以上のグループで比べてみて、薬の効果を観察してみた場合。Non-randomized Controlled Trials のレベルまでなると、薬を使った人と使ってない人、または、他の薬を使った人などのグループを比べてみて、薬の効果などを見ていく研究だ。

Randomized Controlled Trials このあたりでようやく、よく医療現場で使われるレベルになる。略してRCTとも言われる。このレベルで重要なのはRandomized と言うところだ。1つ下のレベルと同じく2つ以上のグループを比べて薬の効果を見るのだが、違いは、グループがランダムに振り分けられるところにある。もともと他の病気を持っている人、性別、年齢などそれぞれの被験者に様々な条件があるが、結果に偏りが出ないように適当に振り分ける方が結果の信憑性が上がる。また、このレベルでは、Double blinded とか言う言葉もよく出てくる。Blind は盲目と言う意味だがここでは、飲んでいる、もしくは使っている薬が何か知らないという意味だ。これはプラセボ効果による結果の偏りをなくすためだ。Double と言うのは、被験者と施験者の両方が何の薬か知らない、と言うことになり、より信頼の置ける結果が得られる。

最後に Systematic Reviews がくる。これは、上記のRCTを集めてきてリビューしたものである。いくつかのサーチエンジンを集めてきて、できる限り多くの関係のあるRCTを集めてきて、それをまとめる。この研究では多大な量の論文、症例を読まなくてはならない。このSystematic Reviews はGold standard とも言われ、最高に信頼できるレベルとされている。

信頼できる情報を見極める

Research と言うだけで、大学の教科のひとつになるくらいだから、こんなブログの1ページで説明しきれるわけではないが、とりあえず Systematic Review があると言う段階で、その分野においてはかなり多くの研究がされていて、信頼もおけるレベルだと言うのは確実だ。では、RCTレベルではどうなのか。どれだけその research の結果が実際の臨床に反映できるかと言うのであれば、やはりできる限り多くの被験者が必要だ。さらに、Double blinded で結果の偏りを減らしてあるほうがいい。被験者の条件などがどれだけ細かく論文に記載されているかも重要だ。また、論文の出所、国も大切だ。信頼のおける名の通った研究所からの論文か、どこかの国の薬品会社の研究か、誰が資金を出したのか、なども結果に影響が出てくる。

ここまで書けば、化粧品の宣伝で”クリニカルエビデンスによれば70%の人が肌色が明るくなった”と謳っていても、その信憑性が疑わしい事はお分かりかと思う。

次回はQualitative の研究について紹介する。実はこちらの方が看護に関連することが多い、と言うことも書いていきたい。