コロナ対策~病院が準備としてしておくこと

コロナ対策~病院が準備としてしておくこと

海外でロックダウン中の現役ナースです。私ごときが他人に何をするべきか言うつもりはありませんが、日本のナースの友人たちの話を聞いていて、現在の彼女たちの置かれている状況に、非常に不安を覚えます。自分たちの病院は中小企業だから、プロトコールなどは無く、コロナ患者が来て病院中がパニックになったという話も聞きました。

日本は病院の方針がそれぞれ異なるでしょうから、コロナ対策もまちまちでしょうが、とりあえず、私が知る海外での病院での準備、対応についての状況を記録します。少しでも参考になれば幸いです。

下記の記事も参考にしてください。

マスクと手袋の使用について https://snm467.com/2020/04/09/post-490/

コロナウィルス予防対策 https://snm467.com/2020/04/09/post-488/

なぜコロナがこんな大騒ぎになっているのか https://snm467.com/2020/04/13/post-530/

自分たちのいる地域の現状を知る

現在私の在住している地域ではコロナの感染状況に合わせた、Alert levelというのがあります。レベルゼロはコロナ感染者が全くいない状況です。ここでの感染経路というのは、Contact tracing というものですが、どこで誰からウィルスをもらってきたか、という経路です。

Level 1:コロナ感染者が地域の外から入って来たが、隔離されていて感染が広がる可能性が非常に低い。

このレベルでも十分な手洗いはしてください。

Level 2:感染者が増えてきてはいるが、隔離はされていて、感染経路もはっきりしているため、感染の広がる可能性はまだ低い。

集団で集まる、不必要な外出は避ける、というのがこのレベルで必要な行動ですね。実際、このレベルの時に、結婚式やパーティーをした人たちの中から発症した人たちが、クラスター(集団感染)として、Level 4の現在、どんどん明らかになってきています。

Level 3:感染経路が不明な患者が出てきており、地域の中で感染が広まっている可能性がある。

この段階になると、Level 4まで数日で以降する可能性が高くロックダウンに向けて、準備をする必要があります。私たちは、Level 3が2日間でした。仕事、食料の調達、家族と離れている人は家に帰る、など、ロックダウンへの準備で、ほとんどパニック状態でした。Level 3は期間は短いほうが良いと実感しました。

Level 4:地域での感染の経路が把握できなく、感染者が蔓延している状態

地域のどこで感染するかわからないので、基本的に家から出ません。外に出ても、他人との距離は1.5から2メートル開けるように言われます。スーパーなどの必要最低限のサービスしかないので、家族の誰か一人が、いるものだけを買いに出かけ、外から帰ってきたら、手洗い、着替えなどをするようになります。

病院内にコロナを蔓延させないよう、最善の注意を払う

どこにも蔓延してほしくないコロナですが、医療機関に蔓延させるのは極力避けるべきです。私たちの病院がとった行動は、当初は大袈裟だと思われたかもしれませんが、ヨーロッパなどで被害が拡大しているところからの情報をもとに、最悪のケースまで予測した結果です。

病院にコロナが蔓延すると、非常に深刻な問題が出てきます。まずは、貴重な働ける医療スタッフがさらに不足してしまうことです。

イタリア、ロンドン、スペイン、ニューヨークなど、コロナが蔓延しているところでは、明らかに医療スタッフが不足しています。感染者の数からしても容易に想像できると思います。特に、重症化した患者の治療に当たれる、知識、技術、経験のあるスタッフは一人でも多いほうが良いに決まっています。

院内で感染者が出ると、そのスタッフと一緒に働いていた同僚なども仕事を休まなくてはいけません。一人が感染すれば、一気に数人から数十人のスタッフを失うことになります。

院内にコロナが入ってしまうと、コロナと関係のない患者に感染が広がる恐れがあります。コロナによる死亡率が高いのは、お年寄りや慢性疾患のある人たちです。そういう方の多い病院でコロナが蔓延したらどういう結果になるか、これも想像がつくと思います。

さらに、コロナが広がっている病院には行きたくないと、病院を避ける人たちも出てきます。これは現在私たちが直面している問題です。コロナ以外でも、病院に行く必要のある病状はたくさんあります。そういう人たちがいけない病院になってしまうわけには行きません。

病院内でコロナを広めないために私たちの病院が準備したこと

1.病院内に入る人の徹底的なスクリーニング:

これは、まだロックダウンする前に始めました。病院に入る人全員の名前と連絡先、渡航歴の有無と呼吸器系の症状(発熱、呼吸困難、咳)の有無を聞くのです。ナースはそれぞれの人に質問をし、顔色を見たり、調子の悪い人は、帰っていただくか、救急外来に行っていただくか判断します。事務員の仕事は、入り口で院内に入る人全員に連絡先を聞いて、訪問者用のシールを胸に貼ってもらいます。もちろん、文句を言ってくる人もいるので、警備員もいます。

2.不必要な来院は避けてもらう

特に内科系の患者には、電話での問診をし、処方箋はファックスで送るなどの対応をしました。これはロックダウンになる2週間ほど前から徐々に始めていました。最終的にはロックダウンになり、緊急以外の処置はすべて中止となりました。事務員もマネージメントもできる限り家から働くようになりました。でも、救急外来はもちろん開いています。

3.病院内に入る人間の制限

ロックダウン後は、病院内に入るのは、患者とIDを持ったスタッフのみになりました。お見舞いもないし、院内の食堂、売店なども閉まりました。16歳以下の小児には大人一人付き添いが許され、緩和ケアでもうすぐ亡くなりそうな方への面会は、人数制限付きで許可が下りています。

4.PPE使用のトレーニング

病院職員全員にPPEのDonning とDoffing のトレーニングがされました。https://snm467.com/2020/04/09/post-490/

Level 2の段階では、渡航歴と症状の両方がある人のみ、コロナの扱いでPPEのフル装着をしていましたが、Level 4になってからは、呼吸器症状のある患者はすべてコロナとして扱います。ものすごい量の、ガウン、マスク、帽子が使われています。

5、バックアップスタッフのトレーニング

ICUで働けるバックアップの看護師を確保するため、ICU経験のある看護師、ステップアップしてICUで働きたい病棟ナース、を召集して、トレーニングをしました。例えばICUのスタッフ一人が感染した場合、同勤務で働いていた医師、看護師、全員が自宅隔離になりますから、一度に10人以上のスタッフが不足することにまりますから、こういう場合も想定してです。

6、病院内の改装

これは、国が資金を出してくれたから、できたことです。できる限り、ICUレベルの治療ができる部屋を増やすために、ものすごい勢いで、改装工事がされました。呼吸器が使える配管のある所は陰圧室にしたり、待合室の一部をコロナのアセスメントのユニットにしたり、ですね。場所がない病院は、駐車場にテントを張ったり、仮設の建物を作ったりしています、近くの学校をテストセンターにしたところもあります。

お互い励ましあって乗り越える

日々、疲労困憊した医療者の画像や、とても残念ながらコロナで亡くなった医療スタッフのニュースを耳にします。ストレスの多い状況下の方々も多くおられると思いますが、思いやりの気持ちをもって、みんなで頑張って乗り切れますよう、刹那に願います。