コロナ感染者の対応その1~CPRの方法(医療者用)

コロナ感染者の対応その1~CPRの方法(医療者用)

コロナ感染者を受け入れ始めたナースの友人から、どうやってコロナ感染者のケアをしているのか聞かれることが増えました。日本の医療は横つながりがあまりないのか、国内外の他の病院の情報が入ってきにくいのか、どうもガイドラインがきちんと準備されていない病院が多いように感じます。

すでに多忙で時間が限られていると思うので、参考になればと思い、とりあえず、私たちが使っているマニュアルを簡潔和訳したものを書きます。主にUKからの情報で作られたマニュアルです。また、このページは医療者用になりますので、ご了承ください。

また、こちらのページも参照ください。コロナ感染者対応その2 https://snm467.com/2020/04/26/post-605/

コロナ感染者のCPR(Cardiopulmonary Resuscitation)、心肺蘇生の方法ですが、他のCPRと違うところが何点かあります。CPR中は施行者が感染患者からの呼気、唾液などに接近するため、CPR施行者の感染リスクが非常に高くなります。CPRを開始する前に、CPRによる医療従事者の感染リスクとCPRで患者の予後がどこまで改善できるかを考慮する必要があります。ほとんどの国でそうだと思いますが、救急隊はコロナ感染者には蘇生術は施行しないことになっています。これは蘇生術によってコロナウィルスがまき散らされるのに、患者が助かる見込みがほとんどない。という理由からです。

Goals of Care

コロナ感染による心肺停止は、ほとんどの場合酸素欠乏による心肺停止で、CPRでは回復しません。しかし、不整脈による心肺停止は除細動で対応できますし、他にも肺血栓や心筋梗塞など、治療によって回復が期待できる症状もあります。

コロナ感染患者がICU治療が必要になった時点で、Goals of Care、つまり治療によるゴールは何かというの決めておく必要があります。これにより、どこまで治療するのか、(特に気管内挿管をするのか)CPRはするのか、が明確であると、患者の急変時に慌てたり混乱したりして、リスクの高い治療をしたりすることが無くなります。

適切な防護服の着用

CPR施行中は、コロナウィルスは空気感染として扱います。ですから、頭の先からつま先までを覆い、マスク(N95)とバイザーが必要になります。適切な防護服無しでは、絶対にCPRは試行してはいけません。あと、できればN95のフィッティングをされたほうが良いと思います。それぞれの顔の形でリークする方もいるようです。その場合は、形の違ったマスクをつける必要があります。

入室する人数を最小限にする

一人部屋の場合は看護師一人、医師二人が入室し、看護師一人がドアの外で、外回り的役割、記録、入室者のPPE装着の手伝いをしたりします。入室スタッフの人数や役割は部屋の広さや環境、勤務中のスタッフの人数などを考慮して、あらかじめマニュアル化しておいてください。

通常のCPRと異なる点

  • ABCの前にPPEを忘れないでください。
  • 呼吸をチェックする際、患者の顔に近づかないこと。胸の動き、顔色、脈拍などで患者の状態を観察してください。
  • 除細動をかける際、患者の酸素マスクはとらないで、酸素のフローだけ止めてください。マスクが少しでも、ウィルスの飛沫を防ぐからです。

気道の確保

アンビューバッグは通常通り患者の口と鼻を覆うようにかぶせますが、バッグ換気は行わないでください。ウィルスが飛び散る可能性が高いからです。気管内挿管をすることが決まれば、除細動に続き、できるだけ早い段階で行ってください。患者に意識がある場合は、少し強力な鎮静と筋弛緩剤を使うことを考慮してください。バッキング予防のためです。気管内挿管に時間がかかりそうな場合は、LMAなどの声門上エアウェイを使用して下さい。その際、フィルターを付けるのを忘れないように。気管内挿管終了後、挿管チューブのカフが膨らんだ時点で、心臓マッサージを施行してください。